デルタ株の脅威、東南アジアの危機が限界点に
インドネシア
世界4位の人口を抱えるインドネシアは、最近インドに代わってアジアのコロナ禍の中心地となった。感染者数は多い時で1日5万人を超えていた。
ジョンズ・ホプキンス大学によればパンデミック以降の同国の感染者数は354万人。このうち120万人は過去1カ月で報告された。死者数は10万人を超えている。アジアで10万人以上の死者が出ているのはインドとインドネシアの2カ国のみ。
検査体制が不十分なため、実際の感染状況は公表されている数字よりも悪いのではないかと危惧する声があるほか、医療体制の消耗も深刻だ。
政府は2日、首都ジャカルタをはじめとする複数の都市や地域を対象とした最高レベルの規制をもう1週間延長すると発表。一方で保健省は一部地域について、感染拡大のピークは過ぎたとし、来月には徐々に経済を再開する取り組みに着手する考えを示した。ロイター通信が報じた。
マレーシア
全国的なロックダウンの実施にもかかわらず、マレーシアでもやはり感染者、死者ともに指数関数的な増加がみられる。議会は休止状態が続く。
国民の間では怒りの感情が高まっており、首都クアラルンプールでは先週末にかけ数百人が感染抑止の規制を破り、政府の対策を批判する抗議活動を行った。野党議員らも議会の建物に向けて行進し、ムヒディン首相の辞任を要求した。
先週には過重労働を強いられる国内の医師数千人がストライキを行って、病院の窮状を訴えた。病床も人工呼吸器も不足しており、医療崩壊の瀬戸際に追い込まれているという。
保健省が発表した4日の新規感染者数は1万9819人で1カ月前の約7000人から増加した。死者は257人で、過去最多の水準に達した。