デルタ株の脅威、東南アジアの危機が限界点に
タイ
昨年は感染者数を低く抑え込めていたタイだが、今年ははるかに重大な事態に直面している。
4日には感染者が2万920人と2日連続で2万人を超えた。死者は160人報告され、累計の死者数は5663人となった。政府の新型コロナウイルス状況管理センター(CCSA)が明らかにした。
首都バンコクでの医療逼迫を受け、政府は地方の医師と看護師400人以上を同市のスラムや人口密集地帯に派遣。住民25万人を対象に検査や隔離措置を実施する方針だ。
3日には全国規模のロックダウンについて、今月末までの延長が発表された。
ミャンマー
タイと国境を接するミャンマーは、パンデミックと軍事クーデターの二重苦にあえぐ。医師らによると、コロナの治療を求めて病院を訪れても病床や病院スタッフ、酸素が不足し、十分な治療が受けられる状況にない。そのため人々は自宅療養を選択しているという。
国連の推計では、同国の医療施設で現在も機能しているのは全体の4割にとどまる。
世界保健機関(WHO)によれば、6月初めに100人程度だったミャンマーの1日当たりの新規感染者数は、現在およそ5000人にまで跳ね上がった。感染者と死者の累計はそれぞれ31万5118人、1万373人だが、医師やボランティア団体らはこれらの数字について過少に報告されていると指摘する。
軍事政権の統治下でワクチン供給は滞り、検査数も極めて限られている。そもそも国民の間で軍への不信感が広がる状況では、危機の深刻さが一般にはっきりと認識されていないのが実情だ。
先週、英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、向こう2週間でミャンマーの人口5400万人のうちの半数が新型コロナに感染する可能性があると警告した。