ロシア富豪所有か、スーパーヨットが香港に入港
香港(CNN) 制裁対象のロシア人オリガルヒ(新興財閥)とのつながりが指摘されるスーパーヨットが、香港に入港したことが分かった。ウクライナでの戦争が長引く中、欧米諸国は同盟国などの港湾でロシア人エリートの豪華資産の差し押さえに動いている。
香港に入港したのは、世界最大級と言われる全長142メートル近いスーパーヨット「ノルド」。CNNは7日、香港中心部に近い海域に停泊する同船を確認した。
仲介業者がCNNに語ったところによると、同船の価値は少なくとも5億ドル(約727億円)に上ると推定されている。産業界の富豪、アレクセイ・モルダショフ氏のものとの見方が多い。
香港海事当局によると、ノルドは5日、ロシアのウラジオストク港から香港に到着した。海事当局は7日、次の目的地については報告を受けていないと明らかにした。
7日午後に目撃されたノルドはロシア国旗を掲げ、船尾には母港である「ウラジオストク」の名前が記されていた。甲板には制服を着た船員とみられる数人の姿が見られた。
米ブルームバーグ通信の長者番付によると、モルダショフ氏はロシア最大の富豪の1人で、純資産は推計187億ドル(約2兆7000億円)。今年に入って100億ドル減少した計算になるという。
モルダショフ氏はロシア鉄鋼・鉱業大手セベルスターリの会長を務める。直近の集計では、同社は世界69カ国に5万4000人の従業員を擁している。
米国務省は6月、同氏と妻、成人した子ども2人、セベルスターリ、モルダショフ氏の他の所有企業3社に制裁を科した。
制裁に乗り出しているのは米国だけではなく、スペインやドイツ、英国などでも今年、ロシア人実業家と関係のあるスーパーヨットが差し押さえられた。