ゼロコロナ緩和の中国、感染急拡大の懸念 北京で広がる動揺
北京(CNN) 厳格な「ゼロコロナ政策」が大幅に緩和された中国で、感染の急拡大が懸念されている。大流行の兆しは既に首都北京を揺るがしている。
緩和は12日も続き、翌日から導入される予定だった「モバイル行程カード」の撤廃を当局が発表した。
モバイル行程カードは、携帯電話のデータを利用して過去14日間の移動履歴を調べ、当局が「高リスク」に指定した地域へ行った人を特定する仕組みだった。
このシステムをめぐっては、データ収集にまつわる不安や、「高リスク地区」がある都市を訪れた人が、たとえその地区を訪れていなくても自治体によって禁止対象とされることへの懸念が強まっていた。
しかしゼロコロナ政策が緩和されつつある中で、集団感染が発生した場合、医療機関がどう対応するのかについては疑問がつきまとう。
北京では先の週末にかけて一部の商店などが閉店し、市内はほとんど人通りが途絶えた。住民は具合が悪くなったり感染を恐れたりして外出を控え、最も人が多かったのは薬局前とコロナ検査場前だった。
中国青年報によると、北京中心部にある診療所には9日、長時間の行列ができ、専門家は住民に対し、不必要な受診を避けるよう促した。
北京では、検査で陽性になった軽症や無症状の住民からの通報も含め、緊急通報も急増した。病院関係者は10日、そのような場合は救急ダイヤルを使わないよう住民に呼びかけた。
北京救急センターの医師によると、緊急通報の件数は通常の5000件から、ここ数日は3万件以上にまで急増しているという。
10日の国営メディアによると、新型コロナに詳しい専門家の鍾南山氏は、感染力の強いオミクロン変異株の影響で、中国では感染が急拡大していると指摘。「どんなに強い予防対策措置を講じようと、感染の連鎖を完全に断ち切ることは難しいだろう」と予想した。