ゼロコロナ緩和の中国、感染急拡大の懸念 北京で広がる動揺
全土で急きょ検査が撤回され、多くの人が自宅での抗原検査に切り替える中、感染状況を把握するのは難しくなり、公式統計はほとんど無意味になった。
公式統計によると、中国全土で11日に報告された症例数は8626例となり、1万597例だったその前日や、1日4万例を超えていた先月末に比べて減少した。しかしCNNの北京での取材によれば、実際の症例数はこれを大幅に上回る可能性がある。
市内の集合住宅には「ここ数日の深刻な感染拡大により、出勤できる従業員が著しく不足し、通常の管理業務が多大な影響を受けて困難になっています」という掲示が張り出されていた。
長期にわたったゼロコロナ政策が大幅に緩和されてから、まだ数日しかたっていない。これは政府の厳格な管理の下で暮らし、新型コロナに関する恐ろしい話を吹き込まれ続けてきた国民の多くにとって、あまりに大きな変化だった。
オミクロン株の症状は比較的軽いとはいえ、人口14億人のこの国で少数でも重症者がいれば、医療態勢に重大な影響を与え得る。
国営メディアのインタビューの中で鍾氏は、政府にとっての最優先課題は、特に高齢者やリスクの高い人のワクチン接種を増やすことだと指摘した。来月には春節を迎え、都会から地方への帰省者が急増する。
保健当局は11日、今月末までに地方の医療態勢を改善するよう指示した。
専門家はこのウイルスに関する経験の少なさに警鐘を鳴らしている。しかも国営メディアは最近になって論調を変えるまで、新型コロナの危険性や海外での影響を強調し続けていた。このため医療機関を受診する必要のない人までが詰めかけて、医療をさらに逼迫(ひっぱく)させる恐れもある。