ウクライナへの直接の武器輸出、韓国は承認を NATO事務総長が求める
韓国・ソウル(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は30日、韓国に対し、紛争中の国へ武器を輸出しないとする規則を再考するよう求めた。そうした措置がウクライナの軍備増強に寄与し、ロシアによる侵攻の撃退につながるとしている。
ソウルでの講演後の質疑応答に臨んだストルテンベルグ氏は「韓国に対し、軍事支援という特定のテーマに今後も取り組み、さらに踏み込むことを強く求める」と発言。NATOの同盟国でも過去に紛争中の国へ武器を輸出しない政策を掲げていた国があるが、現在はその方針を転換していると指摘した。
具体的にはドイツとノルウェーさらにNATOへの加盟を申請しているスウェーデンに言及し、武器輸出の政策を変更してウクライナを支援しているとした。
ウクライナに向けてはドイツと米国が最近、それぞれの主力戦車である「レオパルト2」と「M1エイブラムス」の供与を表明した。
専門家からは、韓国軍の保有する「K2ブラックパンサー」もこうした最先端の戦車に分類可能であり、ウクライナにとって有益な兵器になり得るとの見方が出ている。
ただ同国の貿易法に関する大統領令では、これらの戦車の輸出を「平和目的」に限定。「国際平和や安全の維持、国家安全保障に影響を及ぼしてはならない」と規定する。
また韓国は2014年に批准された国連の武器貿易条約にも調印している。同条約は、武器の輸入やそれらを使用できる条件について厳密な管理を維持することを念頭に置く。
ただ昨年12月、米国の国防当局者はCNNの取材に答え、韓国の武器メーカーから榴弾(りゅうだん)砲の弾薬10万発を購入し、ウクライナに供与するとの米国政府の意向を明らかにした。
これらの弾薬は米国を経由してウクライナに引き渡されるため、紛争当事国に武器援助をしないという韓国の公約には抵触しない。
またウクライナへの最大の軍事支援国に数られるポーランドも、戦車と自走式榴弾(りゅうだん)砲数百両、戦闘機数十機を購入する契約を韓国と結んだ。この契約によりポーランド政府は、ウクライナ政府に供与した兵器の多くを補充することができるようになる見通し。