トルコ地震の被害額は340億ドル、大統領選の行方も左右か
アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ(CNN) 世界銀行は9日までに、トルコ南部やシリア北部を先月6日に襲った大地震の被害額に触れ、トルコでは推定で340億米ドルに達するとの調査結果を発表した。
同国の年間の国内総生産(GDP)の約4%に相当する。間接的な被害コストを含めれば数字はさらに膨れる可能性があるとし、復興作業は容易ではなく、迅速な進展は望めないとの悲観的な見方も示した。
トルコの民間経済団体は地震による被害額は841億ドルと見積もっている。うち約708億ドル分は住宅分とし、奪われた国民所得額は約104億ドル、就業日の喪失日数は約29億1000万ドルとした。
トルコ側では少なくとも4万5000人の犠牲者を確認、約12の都市では数百万人規模の住民が居住先を失うなどの窮境が報告されている。
地震発生前にもトルコ経済はエルドアン大統領率いる政権による正統な方途とは言いがたい金融政策の影響もあり、減速の局面が続いていた。インフレ高騰、所得の格差拡大をさらに助長し、自国通貨リラの価値低落による通貨危機への対応も迫られる状況となっている。
経済専門家らは、国内経済のこれらの構造的な弱みは今回の地震の発生でさらにこじれるだけの可能性があると警告。
トルコでは今年5月中旬に大統領選挙や国会選挙が予定されており、課題が山積している経済問題が選挙結果の動向を決める要因になり得るとも占った。