イスラエル国会、司法改革関連法案を可決 最高裁の権限を制限
ネタニヤフ首相は心臓にペースメーカーを装着する手術を受けた後、24日朝に退院して採決に臨んだ。法案可決後の演説で「有権者の意思をかなえた」と主張。予備役の任務放棄に対しては、「全国民の安全を損ねる」として再考を求めた。
司法制度改革をめぐっては、バイデン米大統領も先週、ネタニヤフ氏との電話会談で直接懸念を伝えていた。ホワイトハウスは、法案がかろうじて可決されたのは「残念」なことだと述べた。
今年1月に始まった反対派のデモは、イスラエル建国から75年間の歴史上で最も規模が大きく、長期に及ぶ抗議行動となった。
明文化された憲法がなく、国会も一院制の同国で、最高裁は国会と政府の権力を監視する唯一の機関として、比較的大きな権限を握ってきた。ネタニヤフ氏らは、権力のバランスを取り戻すために改革が必要だと訴えている。
国会では今後さらに、裁判官の任命で政府の影響力を強め、政府省庁の独立法律顧問ポストを廃止するなどの法案も採決にかけられる見通し。これに対して反対派は、イスラエルを独裁国家に変えようとする「クーデター」だと主張する。
ネタニヤフ氏は抗議デモを受け、国会での法案審議をいったん停止せざるを得なかったが、今月に入って再開した。反対派は、同氏が汚職疑惑の裁判から自分の身を守るために、改革を強行しようとしていると指摘する。3月に可決された関連法案は、議会が首相を職務不適格と宣言する条件を厳しくする内容だった。
大規模な抗議デモは今後も収まる気配がない。議事堂前のデモ隊は法案可決の知らせを受けて行進を始め、「われわれはあきらめない」と気勢を上げた。
イスラエルの弁護士会は23日、法案が可決された場合に異議を申し立てる準備を進めていると述べた。医師会は25日にストライキを実施すると発表した。