フランス大使、ニジェール離れず 軍事政権の出国命令に従わず
(CNN) 西アフリカ・ニジェールに駐在するフランス大使は、現地の軍事政権が25日に発した48時間以内の出国命令に従わず、現在もニジェール国内を動かずにいる。
シルバン・イテ大使は予定されていたニジェール外相との会談を拒んだとして、先週の時点で軍事政権から出国を求められていた。この他にもフランス政府により、ニジェールの国益に反する行動が取られたと同国の外務省は説明している。
マクロン仏大統領は28日、軍事政権が提示した期限を過ぎてもイテ大使がニジェールを出ることはないと述べた。
自国の大使らに向けた会議で発言したマクロン氏は、フランスがニジェールに対して行っている政策は「正しいもの」だと主張。その基底にあるのは現地に駐在するフランスの外交官や大使であり、彼らは正統性のない権力機関から圧力などがかかっても派遣された国を離れないと述べた。
フランスはニジェールの軍事政権を承認しておらず、先月のクーデターで政権を追われたバズム大統領が依然として同国唯一の正統な権力者だと主張している。
ニジェールには最大1500人の仏軍兵士が駐留している。同国はサハラ砂漠南縁のサヘル地域におけるフランスの主要な提携国となっている。
欧州連合(EU)は28日、当該の仏大使への「全面的な支持」を表明。外交と安全保障政策を担当する報道官は、同大使を追放するとした軍事政権の決定について「新たな挑発行為であり、現行の危機を外交で解決する助けには全くならない」との見方を示した。
先月、フランスとEUはクーデター後のニジェールに対して、財政支援の一時停止などの制裁措置を発表した。
一方の軍事政権は、ニジェール国民の一定の層から支持を受けている。27日にはマラディ、ティラベリの両州で数百人のデモ隊が街路へ繰り出し、軍事政権との連帯を示した。
隣国のベナンやブルキナファソの国民からも、ニジェールの軍事政権に対する支持を表明する動きが出ている。
またブルキナファソとマリの軍事政権はニジェールの軍事政権の強力な後ろ盾となっており、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が軍事介入を実行に移すならニジェールを軍事的に支援すると約束している。ECOWASはバズム大統領の復位を意図した軍事介入の可能性を示唆している。