「水も食料も電気もない」、ガザ死者の60%は女性と子ども 避難路でも死傷者
集団避難
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ハマスの攻撃とイスラエルの報復攻撃が始まって以来、ガザ住民は100万人近くが自宅からの避難を強いられた。
週末にかけて市民が南へ避難する間も、イスラエルのガザ空爆は続いた。動画には13日にガザの避難ルート沿いで起きた爆発や遺体の様子が映っている。
CNNが信憑(しんぴょう)性を確認した動画には、主要避難ルートとなっているサラー・アルディーン通りで起きた激しい破壊の様子が映っていた。ガザから避難する住民を乗せていたと思われるトレーラーの荷台には、子どもの遺体も含め、多数の遺体が見える。
イスラエル国防軍は15日、サラー・アルディーン通りに対する攻撃への関与を否定した。
複数の国連機関は、封鎖された状況での集団避難は壊滅的な結果を招くと警告し、病人や高齢者、妊婦、障害者などは避難できないと指摘した。イスラエルは何日も前からガザへの電力や食料、水の供給を断っている。
パレスチナ赤十字社の広報は、ガザ地区にあるアルクッズ病院では患者を避難させる方法がないと述べ、「病院には300人前後の患者がいて、集中治療室に入院中の患者や保育器の子どももいる。彼らを避難させることはできない」と訴えた。
イスラエルに戦争のルール順守を求める声
イスラエルに対しては、国際法で定められた戦争ルールを順守して市民の命を守り、病院や学校などを標的としないよう求める声が、各国や人権団体から強まっている。
支援団体によると、ガザではあらゆる物資が不足しており、住民の窮状を世界に訴えるためのインターネット接続も縮小しつつある。国連世界食糧計画(WFP)によれば、食料は底を突きかけているという。
病院は痛み止めを使い果たし、ガザ住民の多くは飲み水の不足による激しい脱水症状に苦しんでいる。
国際NGO、国境なき医師団の医師は「今日は2時間かけて飲める水を探した。飲める水さえ、もう手に入らなくなった。食べ物はない。電気もない。通常の水のくみ上げもできない。病院はほとんど機能していない。爆撃は一日中続いている。明日はどうなるのか、私たちがどうなるのかも分からない」と語った。
ガザに通じる検問所のうち、唯一イスラエルの管理下にないラファ検問所では、エジプト側に支援物資が山積みになっている。
しかし現時点で同検問所は機能していない様子だ。エジプトは、ガザの空爆によって道路が使えなくなったと説明。ヨルダンは援助車両がイスラエルの空爆の標的にされないという保証を求めるとしている。