イスラエル軍、「次の段階」を予告 ガザの人道危機深まる
(CNN) イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに対し、地上作戦を中心とした「次の段階」へ向けて準備しているとの声明を出した。ガザでは数万人の住民が避難を強いられ、人道危機が深刻化している。
イスラエル軍がガザへの地上侵攻を開始するとの観測は、先週ハマスとの軍事衝突が始まってから強まり続けていた。
イスラエル軍はすでにガザ境界に部隊を集結させている。声明によれば、予備役数万人による広範囲の攻撃が計画され、地上作戦に重点を置いた準備が進んでいるという。
専門家によれば、イスラエル軍はこれまで常に、短時間でできるだけ多くの領土を掌握する戦術を取ってきた。だが今回、ガザの都市部に侵攻するとなれば、戦闘は新たな局面を迎えることになる。ハマスは予想をはるかに超えた軍事力を示していて、次の段階にも十分に備えていると考えられる。
イスラエル軍はさらに、ハマスで人質になっているイスラエル人兵士や市民数十人に配慮する必要がある。人質がどこに拘束されているかは不明だが、難民キャンプ内部などイスラエル軍部隊が近づきにくい場所ではないかと考えられる。
ガザでは、イスラエル軍から避難するよう指示を受けた住民らが北部から南部へ流れ込み、南部の一部地区が過密状態に陥っている。
世界保健機関(WHO)はイスラエルの避難指示について、北部の病院にいる患者にとっては「死刑宣告」に等しいと非難した。
イスラエルは先週からガザへの空爆を続け、「完全包囲」を宣言して電力や燃料、食料、医薬品、水の供給を停止している。
ヨルダンとトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、WHO、赤十字からの支援物資が14日、エジプト・シナイ半島のアリーシュ空港に届いた。だがヨルダンとエジプトの当局者らは、搬入の安全確保に向けた努力が続いていると述べた。
バイデン米大統領は14日、紛争拡大を回避する目的でイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談した。
ブリンケン米国務長官は現地を訪れ、市民の保護や人道支援、さらなる戦闘激化を避ける必要性について、周辺地域の指導者らと会談を重ねている。