「何も残されていない」、南へ逃げるパレスチナ人増加 ガザ攻勢強化で
ガザ/エルサレム(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区では8日、大勢のパレスチナ人が荒廃した域内を徒歩で避難した。イスラエル軍の地上作戦や空爆が強化され、脱出を試みる人が増えている。
女性や子ども、高齢者、障害者らはイスラエル国防軍(IDF)発表の避難回廊に沿って、サラーエディン通りを南下した。サラーエディン通りはガザ地区南北をつなぐ幹線道路2本のうちの一つ。
ある10代の少女は今回の大移動を「ナクバ(大破局)」になぞらえた。ナクバはアラビア語の単語で、イスラエル建国時にパレスチナ人が故郷の町を追われた出来事を指す。
IDFが避難の時間帯を設けるのは5日連続となり、南へ逃げる人は日に日に増えている。
国連によると、5日に2000人だった南部への避難者は、7日には1万5000人に増えた。イスラエル政府によれば、8日にはガザ住民5万人が避難回廊を通って移動したという。この人数については独自に検証できていないが、現地のCNN記者は7日を上回る数の人が避難していると報じた。
ガザ南部へ避難する人々の列を捉えた衛星写真/Maxar Technologies/Reuters
イスラエル人1400人が死亡した10月7日の襲撃を受け、イスラエルはガザ地区内部での攻勢を強化している。
イスラエルのガラント国防相は7日、IDFの兵士が「ガザ市中心部」に入り、イスラム組織ハマスのインフラや現場の司令官を標的にしていると主張した。イスラエル軍の戦っている位置は正確には分かっていない。
ガラント氏は「ガザは人類史上最大のテロ拠点だ。都市全体が一大テロ基地になっている。地下には病院や学校をつなぐ長大なトンネルがある」と指摘。「我々は引き続きこの能力の解体を試みている」と述べた。
IDFはガザ地区への爆撃を数週間続けており、テロリストの拠点1万4000カ所を攻撃したとしている。
ガザ地区南部でCNN記者の取材に応じた男性は、隣人とともに「恐ろしい日々」を経験したと語った。ガザ地区北部の自宅を離れて何度か移動したが、空爆から逃れるのは不可能だという。
「今回の戦争で安全な場所は残されていない。教会もモスク(イスラム教礼拝所)も、何一つ安全な場所はない。きょう、イスラエル軍は安全地帯とされる場所への避難を命じるビラを投下した。ワディ・ガザ(ガザ峡谷)のある一帯を越えたが、まだ爆撃音が聞こえる。ガザに安全な場所はない」