台湾・鴻海の創業者、総統選から撤退
台北/香港(CNN) 米アップルにとって最大の供給業者の一つ、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)の創業者で富豪の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が24日、台湾総統選からの撤退を発表した。候補者の正式登録が期限を迎える数時間前での撤退だった。
郭氏は声明を出し、「私は国際ビジネスの戦場で一度も引き下がったことがない」「中華民国(台湾)の未来のため、引き下がるのを選ぶのは、私が母国に与えられる愛情の全てに他ならない」と述べた。撤退の具体的な理由は明らかにしなかった。
同日には、別のフェイスブックへの投稿で、副総統候補として郭氏と共に出馬していた賴佩霞(タミー・ライ)氏も、来年の総統選の投票用紙に両者の名前が載ることはないと確認した。
台湾総統選は2024年1月13日に行われる予定。
政治経験は限定的ながら、郭氏は今年8月に無所属の候補として総統選への出馬を表明。フォックスコンの取締役を退いていた。19年の総統選にも立候補していた。
24日午前には、主要野党・国民党候補の侯友宜氏と台湾民衆党の柯文哲氏がそれぞれ立候補を届け出た。政権交代を目指す両党は候補者の一本化を図っていたが、協議は前日に決裂していた。
郭氏も侯氏、柯氏と与党・民進党打倒を共通の目標に掲げていたが、支持率では常に大きく引き離されていた。
フォックスコンを巡っては先月、中国で当局による調査を受けていると中国国営メディアが報じていた。土地使用と税に関する問題だという。
調査の数週間前、郭氏は中国政府から圧力を受けることはないと強調していた。ただ同氏が中国国内で展開する事業は広範囲に及んでいる。