タイのタクシン元首相、不敬罪で起訴
バンコク(CNN) タイ当局は29日、タクシン元首相(74)が不敬罪で起訴されたと発表した。
タイ検察の報道官によると、タクシン氏は2015年、韓国紙「朝鮮日報」とのインタビューの中で、王室への侮辱を禁じる法に違反した罪に問われている。
同氏は29日に出廷する予定だったが、新型コロナウイルスに感染したため、6月18日に延期された。
本人は違反を否定し、王室への忠誠を繰り返し表明しているという。
タイでは国王や王妃、王位継承者らを批判すると刑法上の罪に問われ、1件につき最大15年の禁錮刑が科される。人権団体は長年、この刑法が政府批判の口封じに利用されていると批判してきた。
タクシン氏は2001年から首相を務めたが、06年のクーデターで失脚して国外へ逃れ、昨年8月に帰国した。在任中の職権乱用、汚職などの罪で禁錮8年の有罪判決を受けたが、その後刑期が1年に短縮された。
同氏は警察病院に半年間収容され、今年2月に仮釈放となった。その裏には、対立していた保守派との取引があった可能性も指摘された。
タクシン氏は海外滞在中も含め、タイ政界への強い影響力を維持してきた。次女のペートンタン氏が率いるタイ貢献党は、昨年5月の総選挙で躍進し、連立政権入りしている。
本人は政界引退の意向を示しているが、かつての敵対勢力は今も脅威ととらえているとみられ、不敬罪での起訴は同氏への警告とする見方もある。