「地獄が解き放たれた」 シンガポール航空乗客、高度1万m超の悪夢を振り返る

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乱気流に見舞われバンコクの空港に緊急着陸した直後のシンガポール航空機内の様子/Reuters

乱気流に見舞われバンコクの空港に緊急着陸した直後のシンガポール航空機内の様子/Reuters

(CNN) 乗客乗員229人を乗せたシンガポール航空機が21日、強い乱気流に見舞われた。乗客は急降下時の様子について、「全ての地獄が解き放たれた」と振り返っている。

航空追跡データによると、ロンドン発シンガポール行きのSQ321便は高度1万1000メートルを飛行中、急降下した後に数百メートル上昇し、約90秒にわたって乱高下を繰り返した。

ニュージーランドへ出張に向かっていた乗客のアンドルー・デービスさんは、最初「フライトは全く普段通りだった」「非常に滑らかだった。乱気流のことは全く覚えていない」と振り返る。

当時、多くの乗客は朝食を取っているところだった。

その後、約13時間のフライトのおよそ9~10時間が経過したタイミングで、映画鑑賞中にシートベルト着用サインが点灯したため、デービスさんはシートベルトを締めた。「着用して正解だった。その直後に全ての地獄が解き放たれたから」

「落下しているように感じられた。恐らくわずか数秒の時間だったが、靴やiPad、iPhone、クッション、毛布、ナイフやフォークに皿、コップが宙を舞い、天井にたたきつけられたのを鮮明に覚えている。隣の男性が手にしていたコーヒーカップは一直線に私に向かってきて、天井に直撃した」

機内からの写真には、混乱した客室の様子が写っている。紙やコップ、水差しが床に散乱し、天井のパネルや配管が垂れ下がっている。

デービスさんは機内の前方に座っていて、負傷者数十人の一部を目撃した。その中には今回のフライトで亡くなった英国人、ジェフ・キッチンさん(73)の姿もあった。

「彼は私のすぐ後ろに座っていた」「たくさんの人が助けを求めていたが、私たちは彼の手当てを優先した。私は彼の搬送を手伝って座席から運び出し、医療関係者が心肺蘇生法(CPR)を施せるように床に寝かせた」

キッチンさんは20分ほど「心肺蘇生法(CPR)」を受けたという。

航空機は事故後、行き先を変更してタイの首都バンコクに向かった。シンガポール航空のゴー・チュン・ポン最高経営責任者(CEO)によると、搭乗していた乗客211人、乗員18人のうち、143人は救助機でシンガポールに搬送され、22日早朝に着陸した。

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