ドイツ、国籍取得に「イスラエルが存在する権利」の許容を義務化 反ユダヤ主義の高まり受け
(CNN) ドイツで27日、改正国籍法が発効した。今後国籍取得を申請する人はイスラエルの存在する権利を認めることが義務付けられる。
この改正法は同国が進める市民権の大規模な刷新の一環だ。政府は反ユダヤ主義や極右の支持の高まりに加え、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘への自国の対応をめぐる激しい論争への対処に追われている。
内務省の声明によると、ドイツの国籍取得試験には反ユダヤ主義、イスラエル国家の存在する権利、ドイツにおけるユダヤ人の生活に関する新しい試験問題が追加された。
ガザ紛争とドイツ政府のイスラエルに対する強い支持はドイツ国内で多くの議論を巻き起こしている。昨年10月7日の開戦以降、ショルツ首相を含む議員らは、イスラエルの安全保障はドイツの「国家の理屈」、つまり国益の問題だと繰り返し述べた。
一方で、当局の対応は行き過ぎで、親パレスチナ派の言論と集会の自由の権利を侵害していると非難する声もある。
状況をより複雑にしているのは、ドイツが欧州最大のパレスチナ人のディアスポラ(母国や祖先の故郷を離れて暮らす人々)を抱えている点だ。その数は30万人に上ると推定されている。ある議員は以前、CNNに対し、同国のイスラム教徒コミュニティーは中東情勢を受けて疎外感を感じていると語った。
今回の改正により、国籍取得までの期間も短縮される。ドイツで働き、「十分に溶け込んでいる」とみなされる人は8年ではなく5年で国籍を取得できるようになった。
以前の国籍を放棄する必要もなくなった。これはドイツでは移民1世の要件だった。
この改革はドイツにおける反ユダヤ主義を監視する団体であるRIASの新たな報告書を受けて行われた。同報告書によると、昨年、反ユダヤ主義を理由とする事件が約83%増加し、昨年10月7日以降、大幅に増加した。これらの事件には反ユダヤ主義の落書きから脅迫、暴行まであらゆるものが含まれている。