ウクライナの越境攻撃は西側へのメッセージ 「我々は勝利できる」

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ウクライナ軍によるロシア南西部クルスク州への大胆な越境攻撃は情報戦と戦術的な敏しょう性の勝利と言える/AP/File via CNN Newsource

ウクライナ軍によるロシア南西部クルスク州への大胆な越境攻撃は情報戦と戦術的な敏しょう性の勝利と言える/AP/File via CNN Newsource

(CNN) ウクライナ軍によるロシア南西部クルスク州への大胆な越境攻撃は情報戦と戦術的な敏しょう性の勝利であると同時に、人員と装備の面で優位であるにもかかわらずロシア軍が多くの弱点を抱えていることを示している。

同様に重要なことは、ウクライナ政府が友好国に対して、これまで流布していた戦争をめぐる物語を覆す政治的なメッセージを送ったことだ。これまでの物語とは、ウクライナ軍は火力で上回るロシア軍に対して終わりのない後衛戦を戦う運命にあるというものだ。

ロシアのプーチン大統領が依然として「特別軍事作戦」と呼ぶものの全ての目標が達成されるだろうというロシア政府が繰り返す主張は突然、空虚に響き始めた。ウクライナ軍は今月に入り、ロシア領を最大約1200平方キロ支配下に置いたと主張。これはロシアが今年に入りウクライナで奪取したのとほぼ同じ面積だという。

ロシアは2022年2月にウクライナへの侵攻を開始して以降、何度も挫折を味わってきた。ウクライナ侵攻は1週間以内にウクライナ首都キーウを支配下に置くことを目的としたものだった。そうした目標と目標実現のための方法は変わっていない。ロシア軍は大規模な砲撃とともに歩兵を大量に投入し、ウクライナ領でじりじりと領土を奪っている。

米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」の分析によれば、プーチン氏は、ロシアが主導権を維持して、ウクライナにとって作戦上重要な反攻を実施するのを阻止できる限り、ロシアは長期的にはウクライナに対して決定的な損失を与えることが可能なほか、西側諸国によるウクライナの安全保障に対する支援や、ウクライナが戦争遂行のために経済活動や人員を動員するための取り組みを上回ることができると考えている可能性が高い。

欧州政策分析センター(CEPA)のシニアフェロー、マシュー・ブレグ氏も、両国の全体的な戦略を見れば、大きく変わったところはあまりないという点で合意する。「しかし、この作戦は数カ月ぶりにクレムリン(ロシア大統領府)に異なる物語を強いることとなり、プーチン氏の物語に初めて亀裂が入った」

ウクライナ軍は、自国の領土の多くを取り戻す可能性がほとんどないというウクライナ支持者の中で広がりつつある共通の考え方に一石を投じた。ウクライナ政府は、クルスク州での越境攻撃は戦争の行方を変える可能性があることから、ウクライナ軍が友好国から継続的により素早くより良い支援を受けるに値することを示したと考えている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は先に行われた演説で、「我々はすでにこの戦闘の正当な終結を支持する人々の輪を拡大しており、今後も拡大し続けるだろう。ウクライナがこれまで以上に強力にこの秋に突入することが不可欠だ」と述べた。

オーストラリア軍退役将校のミック・ライアン氏は今回のクルスク州への越境攻撃について、23年の反攻失敗後のウクライナの学習と適応を示したとの見方を示した。23年の期待された反攻ではウクライナ軍はほとんど領土を奪還することができなかった。

ライアン氏は「ここでのウクライナの目的は、ロシアの勝利は避けられないものではなく、ウクライナは戦って勝つことができると示すことだ」と指摘。これにより、懐疑的な人々からの支持を維持し、おそらくより重要なこととして、武器を使用する方法と場所に対する制約をさらに緩和することだという。

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