ウクライナの越境攻撃は西側へのメッセージ 「我々は勝利できる」

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ウクライナ軍の攻撃によりクルスク州のセイム川に架かる浮桟橋から煙が上がっている/Special Forces of Ukraine/Handout/Reuters
ウクライナ軍の攻撃によりクルスク州のセイム川に架かる浮桟橋から煙が上がっている/Special Forces of Ukraine/Handout/Reuters

ウクライナは紛争を拡大する恐れのある兵器類の供給について、友好国のためらいを取り除こうと粘り強く努力してきた。最初は火砲や戦車、その後はF16戦闘機や高機動ロケット砲システム「ハイマース」、地対地ミサイル「ATACMS(アタクムス)」だ。

兵器類に対する使用制限が緩和されると、一部の米国製の兵器をロシア領に対して使用することが可能になった。ウクライナ軍はクルスク州で装甲車両を使用することでロシア領奥地へと進攻した。米国やドイツ、英国が提供した装甲車や戦車がロシアの田園を走行しているのが目撃されている。西側が提供したミサイルが橋を破壊した。そうしなければ、ロシア軍が防衛に使用した可能性があったためだ。

クルスク州への越境攻撃が成功した要因は西側が提供した兵器類だけにあるわけではない。ウクライナの情報の収集や計画の立案、特殊部隊による作戦の実行に加えて、多くのウクライナ製のドローン(無人機)や火砲、電子戦、燃料気化爆弾もあった。

英シンクタンク王立国際問題研究所(チャタムハウス)のオルガ・タタリウク氏は、今回の越境攻撃によって、ウクライナ側の主体性が浮き彫りとなり、ロシアがウクライナ侵攻で描こうとしている西側諸国との代理戦争という見方を弱めることになると指摘。また、ウクライナが常に守備に回る運命にあるわけではないという安心感も同盟国に与えることになるほか、昨年の反攻の失敗後に西側の戦い方を学んでいることも示せるという。

ロシア軍がウクライナ東部の要衝2カ所に迫るなか、クルスク州での軍事作戦は依然としてウクライナにとって大きな賭けだ。しかし、ウクライナ軍は戦いが一方的なものではないと示した。

CEPAのブレグ氏は「これがささいな出来事なのか、状況を一変させるものなのかはまだ分からない」と述べた。ウクライナにとっては、ロシアがより多くの火砲や航空機を投入するにつれて、作戦を継続することはますます困難となるだろう。

しかし、ウクライナ軍が香港に相当する面積のロシア領を支配下に置く日々が長引くほど、クルスク州への越境攻撃はささいな出来事ではなくなりつつある。

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