ローマ教皇、聖職者による性的虐待の根絶を約束 ベルギー首相の異例の要請受け
ベルギー・ラーケン宮殿(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(87)は27日、聖職者による性的虐待を根絶することを誓った。ベルギーのデクロー首相が具体的な行動を取るよう異例の要請を行ったことを受けたもの。
教皇は、ベルギー国王の公邸で政治指導者らに向けて演説を行った。ベルギーでは近年、聖職者による虐待の不祥事が頻発している。
教皇に先立ち、ベルギー国王とデクロー氏はともに演説でこの問題を取り上げた。デクロー氏は教皇に直接語りかけ、虐待の危機がいかにベルギー国民の注目を集めるようになったかを強調した。
デクロー氏は「何か問題が起きたとき、隠蔽(いんぺい)は受け入れられない。それは、皆が行っている貴重な仕事に損害を与える。だからこそ今日は言葉だけでは足りない。具体的な措置が必要だ。被害者の声に耳を傾けなければならない。彼らは中心的な位置を占めなければならない。彼らには真実を知る権利がある」と語った。
さらに、「将来を見据えるためには、教会は過去を明らかにしなければならない」と訴えた。
フランシスコ教皇は演説の中で、教会の虐待危機について、ヘロデ王が2歳以下の男児をすべて処刑するよう命じた聖書の物語になぞらえながら「これは恥ずべきことであり、私たち全員が今日、手に取り、許しを求め、虐待、児童虐待の恥辱という問題を解決しなければならない」と述べた。
教皇はまた、「教会は恥じ、許しを求め、キリスト教徒としての謙虚さをもってこの状況の解決に努め、このようなことが二度と起こらないようあらゆる可能性を検討しなければならない」と語った。
3日間の日程でベルギーを訪問している教皇は、虐待について、「教会が、傷ついた人々の声に耳を傾け、寄り添い、世界中で防止プログラムを実施することで、断固として取り組んでいる災難」だと主張した。
ベルギーでは過去30年間にわたり、元司教が2人のおいを虐待した事件を含め、聖職者による性的虐待が相次いで明るみに出ている。この不祥事は今回の訪問に大きな影を落としている。
一方、ベルギーの教会で強制養子縁組の不祥事が持ち上がっている。新聞社の調査によると、1945年から80年の間に新生児が母親から引き離された推定3万件の事案にベルギーの修道女が関与していた。若い未婚女性の両親が妊娠を秘密にしておきたいと望んだケースが大半だった。