被災地訪問の国王にブーイングや卵投げ、甚大被害に住民の怒り噴出 スペイン
(CNN) 大規模な洪水で200人以上が死亡したスペイン東部バレンシア州で、被災地を訪れたフェリペ国王夫妻に対し、住民がブーイングを浴びせたり卵を投げつけたりして怒りをぶつけた。
国王夫妻とサンチェス首相、マソン州首相の一行は、特に被害が大きかったバレンシア市郊外のパイポルタを訪問した。同地では、地元当局の対応の不手際が大きな被害を招いたとして、非難の声が噴出している。
一行が写真撮影を終わると、集まった住民らが国王やマソン氏、サンチェス氏に対して罵声を浴びせ始めた。押し寄せる群集に対し、警護隊は傘を開いて投げ付けられた物から国王らを守ろうとした。
警察が群集を押しとどめようとして苦慮する中、住民の男性に詰め寄られた国王は冷静な様子で傘を降ろし、男性の話に耳を傾けた。レティシア王妃は憤りを爆発させる住民らと話をしながら震えている様子で、両手で顔を覆っていた。
訪問した国王や首相に対して怒りをぶつける住民/Manaure Quintero/AFP/Getty Images
王室のSNSに掲載された映像では、国王夫妻が取り乱した住民らを抱き締めていた。国王の腕の中で男性が泣き崩れる場面や、涙を流す2人の女性を国王が抱き締める場面もあった。
住民の怒りは主にマソン州首相とサンチェス首相に向けられている様子だった。2人は混乱の中で早々にその場を離れる一方、国王はとどまり続けようとした。
今回の洪水では少なくとも214人の死亡が確認され、犠牲者の数はさらに増える可能性がある。
住民は当局の対応の遅さや統制のなさに対して怒りを爆発させている。携帯電話に通知が届いたのは、気象庁が洪水警報を出した数時間後だった。