中国人俳優、タイで拉致され詐欺拠点に一時監禁 同様の被害多数
王さんがバンコクへ戻る警察機の中で話したところによると、同じ建物に少なくとも50人が監禁されていた。「もう1棟にも多くの人がいた。出身国はさまざまだった」という。
SNS上には、ほかの数十人がどうなったのかと問い掛け、「有名人だけを救出するというわけではないはず」と指摘するコメントなどが投稿された。
中国はこれまでミャンマー当局に対し、国境に近い北部の詐欺拠点を取り締まるよう求めてきた。2023年には、拠点を取り仕切っていた地元有力者らが逮捕され、中国側に引き渡された。中国当局は、ミャンマー北部の大規模拠点が一掃され、人身売買の被害者を含む中国人5万3000人が送還されたと発表している。
だが詐欺拠点の多くは、そのまま南方のミャワディなどに移動したとみられる。タイのNGOによると、ミャワディにある複数の拠点に監禁されているのは中国人約3900人を含め、計21カ国の約6000人に上ると推定される。
王さんの事件の影響は、タイの観光業界にも及んでいる。中国からの観光客が増える春節(旧正月)を前に安全への懸念が広がり、中国国営メディアによるとタイ行きの便のキャンセルは先週末、2.5倍に急増した。中国の旅行系アプリでは、タイ旅行の飛行機やホテルを最小限のコストでキャンセルする方法が共有されている。
広東省の旅行業者によると、事件の報道を受けてタイ旅行の予約は大幅に減少し、春節休暇中の予約件数は昨年の40%にとどまっているという。