英首相、ウクライナ首都を訪問 安保協力で協定に署名
(CNN) ウクライナの首都キーウを訪問した英国のスターマー首相は16日、ウクライナのゼレンスキー大統領と共に両国間の「100年パートナーシップ」協定の署名式典に出席した。ウクライナとロシアとの戦闘を速やかに終結させると約束するトランプ次期米大統領の就任が近づく中、ウクライナを巡る情勢には不透明感が漂っている。
スターマー氏がキーウを訪れるのは昨年7月の首相就任以来初めて。ロシアの侵攻に抵抗するウクライナに対し、ここまで英国は世界3位となる規模の軍事支援を行っている。米国の支援と比較すればその1割強の規模でしかないが、それでも英国は昨年、ウクライナとの間で安全保障面で協力する合意も結んでいる。
「100年パートナーシップ」はこれに海上の安全保障、社会統合、ロシアの奪った穀物を追跡する英国による新たなプログラムを盛り込む。しかしこれらはいずれもウクライナの求める安全保障の実現に近づく施策ではなく、その点はスターマー氏も暗に認めている。
同氏はキーウでの記者会見で、「今後ウクライナ及び全同盟国と連携し、ウクライナの安全保障に向けた取り組みを強化する」と約束した。
米シンクタンク、戦争研究所の推計によれば、ロシアは昨年4000平方キロ以上の領土を獲得した(ウクライナによる侵攻後に奪還した自国のクルスク州の領土も含む)。相当の兵力を犠牲にしたとはいえ、これは一昨年に獲得した領土の10倍超に上る。
トランプ政権はウクライナでの戦争を巡り外交的な解決を目指す意向を明言しているが、そこにはウクライナによるこれらの領土喪失の容認も絡んでくる可能性がある。
スターマー氏はここまでの米国の貢献を称賛しつつ、今後も英米は連携してこの問題に取り組んでいくとの見方を示した。