国連支援機関の活動禁じるイスラエル法施行、惨状恐れるパレスチナ人
壊滅的影響
UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は28日、禁止法が施行されれば惨状を招くと危機感を募らせた。
「UNRWAのサービスは別の機関に移転できるとイスラエル政府は主張している」とラザリーニ氏は指摘。しかしUNRWAは「公共的なサービス」を担っているという点で特殊性があり、そうした業務は「機能している国家にしか移転できない」と訴えた。
イスラエルのダニー・ダノン国連大使は28日の国連演説で、同法の対象となるのはイスラエルでの活動のみで、ガザやヨルダン、レバノンでの活動は対象にならないと説明。それでも「我々はUNRWAがイスラエルから活動することを許さない」とした。
その上で、UNRWAがガザで行っている活動は段階的に縮小され、別の国連機関に入れ替えられると強調した。
イスラエル政府報道官は29日、既にガザで活動している世界食糧計画(WFP)、国連児童機関(ユニセフ)、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)などがそうした活動を担うと述べた。3団体ともUNRWAと緊密に連携しており、WFPとユニセフはUNRWAの活動禁止を強く非難している。
ガザにいるUNRWA職員数千人の身の安全も懸念される。UNRWAによれば、戦争が始まってからこれまでに殺害された職員は270人以上。保健省によると、ガザの住民は4万7000人以上が殺害されている。
ハンユニス北部から避難したホダ・フセインさんは、UNRWAの活動禁止を「第二の飢餓、ガザ地区に対する新たな戦争」と形容する。
「私たちは神を頼り、それから彼ら(UNRWA)を頼った」と話すフセインさんは、15カ月間、ほかにどこも行く場所がなかったといい、UNRWAには「全面的に、何もかも頼っている」と言い添えた。