中国、レアアース生産の2割削減を発表 新たな貿易摩擦か
香港(CNN) 中国政府は9日までに、電子機器などのハイテク製品に使われるレアアース(希土類)の生産を2割削減する方針を明らかにした。地元紙チャイナ・デーリーがレアアースを担当する省幹部の発言として伝えた。
日米と欧州連合(EU)は中国がレアアース輸出を規制しているとして世界貿易機関(WTO)に異議を申し立てており、今回の生産削減措置は新たな貿易摩擦を生む可能性がある。
レアアースはスマートフォンや薄型テレビ、ハイブリッドカー、兵器に使われ、磁気性などを帯びる17種類の鉱石を指す。セリウムやネオジム、タングステンなどが含まれる。中国が現在、世界のレアアースの約9割を供給している。
チャイナ・デーリーによると、生産量の2割削減に伴い全国にあるレアアース関連の23鉱山の3分の1を閉鎖し、99社ある精錬企業の約半分を廃業にする。生産削減は環境保護の改善と業界の再編を狙った措置ともしている。
生産削減の新たな規制では、レアアースの鉱山での年間の最低生産量は2万トン、精錬の量は年間2000トンに設定された。小規模な企業は廃業を迫られるとみられる。
レアアースの資源は米国など他国でも見付かっているが、安全な採鉱作業の確保が難題となっている。中国のレアアース資源の埋蔵量は世界の約3分の1だが、人件費の安さや厳しくない環境保護基準が90%以上の生産量につながっているとされる。