就労者の半数強が老後の蓄え「不十分」 世界15カ国調査
ロンドン(CNNMoney) 世界的な景気低迷や失業、増税に世帯収入が直撃される中、世界の就労人口の半数強が、退職後に快適な生活を続けられるだけの蓄えがないと考えていることが、英金融大手HSBCが実施した調査で分かった。
調査は15カ国の就労者および退職者1万5000人を対象に実施。引退生活の予想年数や貯蓄額などについて調べた。その結果、ほぼ20%は老後のための蓄えがまったくないと回答。うち44%は日々の生活費を理由に挙げた。回答者の大多数は、貯蓄が増えない理由として失業、健康状態の悪化、住宅の購入、子どもの教育費を挙げている。
引退生活の予想年数は平均18年だったのに対し、蓄えが底を尽くまでの予想年数は平均10年だった。
HSBCの担当者は「寿命が延び、経済が厳しさを増す中で、退職後の生活水準に対する期待は変わらないままだ」「結果的に、世界で何百万という人が、蓄えを使い果たして困難な状況に直面する」と指摘する。
国別にみると、最も悲観的だったのは英国で、引退生活の年数は平均19年、蓄えが尽きるまでの年数は平均7年と予想。一方、米国は退職生活の平均予想年数が21年で、蓄えは平均14年間もつと予想している。
主な収入源として国をあてにするという回答も3分の1を占めたが、政府が歳出を削減し、人口の高齢化が進んで65歳以上の人口は2050年までに10億人増えると予想される中で、大部分は働き続けるか、貯蓄を増やすかの選択を迫られそうだ。