トヨタ会館、トヨタの工場見学ツアーを体験
「しかし、最も重要な要素である高速学習ダイナミクスに気付き、採用した企業は皆無に等しい。ツールにばかりとらわれるイミテーター(模倣者)と、行動にも着目するエミュレーターの結果の差は歴然だ」
一方、トヨタ自身はTPSについて次のように説明している。
「トヨタ生産方式(TPS)は、トヨタの従業員と顧客本位の哲学を表す実用的表現だ。TPSは、会社が従業員に強制しているものではなく、長年の業務の中で立証された原理・原則だ」
未来を感じる展示品
見学ツアーは、名古屋駅から電車を2回乗り継ぎ、最寄り駅からタクシーでわずかな距離にあるトヨタ本社のトヨタ会館ミュージアムから始まる。トヨタの6万9000人の従業員の半数はこの場所で勤務しているが、最寄り駅からトヨタの本社までの間に人影はほとんどない。
ミュージアムは、一見ごく普通の会社の建物だが、ガラス製のドアから中に入ると、ホログラムのエンジン、エイリアンのような形をした車、自動車レースの最高峰フォーミュラワン(F1)で優勝したレーシング・カーなど、未来を感じさせる展示品が並ぶ。
中でも特に目を奪われたのは、トランペットを演奏するスレンダーな青と白のロボットだ。ピストン式の肺とゴム製の唇を持つこのロボットのうわさは聞いていたが、その演奏は想像以上のすばらしさで、もし音楽家だったら、自分の職の将来を案じていただろう。