世界の先端オフィス、心地よさで能率アップ
森の中に直接オフィスを構える企業も出てきた。スペインの建築事務所セルガスカーノは2009年に新オフィスを開設、ガラスのチューブを森の土壌に埋め込むような形になった。同事務所で働く建築家パオロ・トリンガリ氏は、自然のリズムに沿って仕事をすることで、太陽のちょっとした陰りなども繊細に感受できるようになったという。
植物に接することで知性が研ぎ澄まされるという点は、学術研究によっても示唆されている。米ワシントン州立大学の園芸学者バージニア・ローア教授は、植物と人間の生産性のつながりを調べた第一人者。窓のないコンピュータールームに植物をおくと、コンピューター上の作業の速度が上がることを実証した。ストレス軽減や血圧低下、集中力向上などの効果もあるという。
なぜ植物が職場を癒やすのか。ローア教授は、植物に備わる性質や植物を見たときの人間の反応が影響していると説明する。植物は相対湿度を人間にとって快適な水準にまで上昇させ、かぜを引きにくくするなど環境を整える。また、草木は人間にとって大昔から生存のために重要な存在であり、それに触れるとプラスの感情が生まれるという。もっとも、最終的な答えは依然、「興味深い謎のまま」とのことだ。