管理職が語るリモートワークへの本音
管理職の仕事が増える
ロサンゼルスでフリーランスのTVプロデューサーとして、グラミー賞などの番組制作や予算管理を行うデニス・マイヤーさんは、とりわけ特定の業務のために現場にいる必要がなければ、リモートワークには価値があると考えている。だが、全員がリモートで働いている日には、本来ならば誰かに任せる仕事も自分でやることになるという。
マイヤーさんは「常に『自分でやったほうが早いのではないか』と考えてしまう。同じ部屋にいる誰かに自分で話しかけることほど、早くて実用的なものはない。誰かに頼もうと電話をしたり、メッセージを送ったりすることで貴重な時間が無駄になる」と語る。番組の放映や収録が近づき、多くの決断や変更をしなければならない時は特にそう感じるといい、「誰かが近くにいてくれればいいのだが」と話している。
会議室に一緒に入る機会を失った
トレイシー・シューマッハさんは、ニューヨーク州シラキュースにある電力会社のサービスプロバイダーで、11人のソフトウェア開発者とテストエンジニアのチームを管理している。パンデミック以前はフルタイムのオフィス勤務だったが、パンデミック以降は完全にリモートで仕事をしている。だが彼女は現在、7月中旬から週3日どの曜日を在宅勤務とするかについて、チームのメンバーに希望を聞いているところだ。
シューマッハさんは、完全リモート型によるチームとしての経験はおおむね成功だったが、パンデミック時に採用した新入社員の受け入れや、若手社員の育成は大変だったと振り返る。また、グループ通話では誰が話したいのかが分かりにくく、メンバーの半分は黙っていることが多いという。
シューマッハさんは「我々は会議室に一緒に入り、ホワイトボードに解決策を書き出すといった機会を失ってしまった」と述べたが、ハイブリッド型の勤務スタイルによってこれらの問題は解決できると考えている。
ハイブリッド型の導入によって、若手社員による積極的な参加も増える見込みだ。だが、チームのメンバーは週の大半が在宅勤務のため、彼らを育成するには特別な配慮が必要で、「若手社員は、自分から質問することに抵抗があるかもしれないので、そこが課題だ」とシューマッハさんは話す。シューマッハさんは、チーム全員がハイブリッド型の勤務スタイルを取り入れれば、オフィスで過ごす数日間はより生産性が高くなると期待している。