管理職が語るリモートワークへの本音
(CNN) 多くの企業は従業員の働く場所や時間について、以前よりも柔軟に対応するようになってきた。だが、リモートワークを実際に管理する上司やマネジャーといった管理職の誰もがこうした動きを手放しで喜んでいるわけではない。
管理職の中にはリモートで働いている人から直接報告が来ることについて問題ないと考える人もいれば、部下と一緒に現場で顔を合わせて仕事をしたい人もいる。これまで対面でチームを管理していた彼らは、2020年に一夜にして完全にリモートで管理するという方向転換を迫られた。
米調査会社ガートナーが最近実施した顧客調査では、管理職の40%以上が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生する以前よりも多くのストレスを感じており、労働時間も長くなったと回答している。
だが、管理職はまたもや方向転換を迫られている。今度は、週に数日のオフィス勤務とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッド型」の勤務スタイルで働くチームを管理しなければならないことについて、彼らは実際にどう感じているのだろうか。CNN Businessに寄せられたメッセージを紹介しよう。
部下を追いかけるのは苦痛
アトランタの銀行でファイナンシャルアドバイザーのアシスタント40人を管理していたロリ・スミスさんは、社員の柔軟性を高める点ではリモートワークを支持するが、特定の部下を常に追いかけなければならないという負の側面もあると指摘した。
スミスさんによると、部下の大半はここ1年の仕事ぶりも良く、連絡もスムーズに取れていた。だが、連絡がうまく取れず、勤務時間中に電話をしても数時間連絡がつかなかった部下もいた。「忙しい」「用事があった」などと言われたほか、理由を告げられなかったこともあった。
疲れ果ててしまったスミスさんは、週7日勤務で「ワーク・ライフ・バランス」が取れなかったことから、つい最近仕事を辞めたばかりだ。それでも業務の7割はリモートでできるため、元部下たちはハイブリッド型の勤務スタイルでうまくやっていけると信じている。
またスミスさんは、管理職へのアドバイスとして、新しいハイブリッド型の勤務スタイルがどう機能するかについてチームメンバー全員の賛同を得ることや、部下に出社してもらう際にはトレーニングや生産性の向上など、正当な理由があることを確認することを勧めている。
ハイブリッド型は完全リモート型より優れている
アリゾナ州にある教育関連企業のコールセンターでマネジャーを務めるダイアナ・ギャレットさんは、現在のような完全リモート型ではなく、ハイブリッド型の勤務スタイルを望んでいる。
パンデミックが発生した当時、ギャレットさんは入社してわずか3カ月、フルタイムでオフィス勤務だった。だが、オフィスの閉鎖によって勤務スタイルも完全リモート型に移行。他州を拠点にする社員も採用したため、現在のチームメンバー25人のうち、直接会ったことがあるのは12人のみという。
個人的なやり取りができなくなった今、オフィスだったら5分程度で終わる会話が、今では倍以上の時間がかかることもあり、ギャレットさんは「仕事内容は変わらないのに、今まで以上に時間がかかるようになった」と嘆く。
また、チームのメンバーとオフィスで一緒に働けば、チームがいつ自分のサポートを必要としているのかを正確に把握できるが、今はそれができないため、「ストレスを感じており、対面で会話がしたい」と語った。