中国、過去10年で最悪の電力危機に直面 酷暑の中各地で供給制限実施
ここまで、一部地域における極度の気温上昇が電力需要の拡大を引き起こした。人々が冷房・冷蔵設備をより多用するようになっているからだ。
また石炭は依然として国内の発電の60%あまりを賄うエネルギー源だが、政府はこの比率がこれ以上増えることに神経をとがらせている。60年までに二酸化炭素排出量を相殺する「カーボンニュートラル」を実現するべく、石炭消費の削減に取り組んでいることが背景にある。
電力不足は向こう数カ月にわたって継続する公算が大きい。特に夏場、気温が例年より高くなれば南部や中央部で電力の供給制限が続くリスクが「依然として大いにある」と、金融情報会社リフィニティブのアナリスト、ヤン・キン氏は指摘する。
「中国の電力供給が直面する課題は、高まる電力の必要性を満たすことと脱炭素化の目標とをいかに両立させるかだ」(キン氏)
中国は数多くの再生可能エネルギー源の開発にも取り組んでいるが、キン氏によればそれらはまだ、化石燃料由来のエネルギーほどの安定性を持ち合わせていない。
例えば雲南省にある水力発電の主要拠点では、干ばつの影響で貯水池に蓄えておかなくてはならない水の確保が難しくなっているという。