CEO報酬急騰、従業員はインフレに追いつけず 米の賃金格差さらに拡大
ニューヨーク(CNN Business) 米国で企業経営者と労働者との賃金格差が一層拡大している実態が、米シンクタンクの政策研究所(IPS)が実施した調査で浮き彫りになった。
調査は労働者の給与の中央値が低い上場企業300社を対象に実施。その結果、調査対象とした企業の3分の1以上で、一般的な低賃金労働者の給与が昨年のインフレに追いついていないことが分かった。
消費者物価はこの春、40年ぶりの水準となる8%以上の値上がりを記録した。結果として給与が増えた労働者も多かったものの、ほとんどはインフレに追いついていなかった。
一方で経営者はインフレの影響をほとんど受けなかった。
最高経営責任者(CEO)の報酬は31%急騰して給与格差の平均は670対1となり、2020年の604対1に比べてさらに上昇した。
調査対象となった企業のCEOの報酬が250万ドル(約3億3000万円)増えたのに対し、低賃金労働者は3500ドルの賃上げにとどまった。平均年収はCEOが1060万ドルで、低賃金労働者は2万4000ドルに満たなかった。
新型コロナウイルスの感染が拡大した20年、「従業員が仕事や収入、生命を失う中でも、企業の役員会は十分すぎるCEOの報酬を守ることに熱心だった」と研究者は指摘。21年になると、自社株買いに何十億ドルも費やし、利益率を保つために消費者製品の価格を膨らませるなど、「CEO報酬を膨らませる新たな戦術にシフトした」としている。