C919の収容可能な乗客数は最大192人で、最大航続距離は5500キロメートル。
これに対し、COMAC初の商用機「ARJ21」はずっと小型の国内専用機だ。最大航続距離はわずか3700キロメートルで、乗客数も最大97人だ。
COMACは広胴型の長距離航空機「CR929」の製造にも取りかかっている。だがこちらは中国とロシアの共同プロジェクトで、ケネディ氏によれば、昨年ロシアがウクライナに全面侵攻をしかけて以来中断しているとみられる。
「こちらの機体はおそらく写真や図面で終わるだろう」とケネディ氏はCNNに語った。「中国とロシアの共同計画に、技術提供しようとする者はいない」
本当にメイド・イン・チャイナ?
C919の初の商用飛行は5月28日。中国東方航空(CEA)の運航で、乗客を乗せて上海から北京へ飛んだ。
中国側はC919がボーイング737やエアバスA320と肩を並べる存在になり、技術大国としての地位を強化してくれるだろうと期待しているとケネディ氏は言う。
だが、中国政府が国産航空機の成功を喧伝(けんでん)したために、すぐさま専門家から海外製部品の割合について指摘が飛んだ。
CSISが2020年に行った分析による推計では、C919の主要または大型部品のおよそ90%が欧米製で、中国やアジア諸国で製造された部品はわずか10%だった。ユソフ氏の試算もほぼ同じだ。
この割合は20年から変化しているかもしれないが、認証プロセスの最中に部品メーカーを変更するのは困難なことを考えれば、その可能性は低いだろうとケネディ氏は考えている。
C919は計画よりも数年遅れて、昨年ようやく中国本土での商用飛行と大量生産が認められた。
中国側も批判を認めている。中国の国営英字紙グローバル・タイムズは先月29日、「C919が輸入製品に依存している中、国産航空機と呼べるのかという疑問が一部から持ち上がっている」という論説記事を掲載した。
「C919の場合、たしかに海外業者の名前がずらりと並んでいる」(グローバル・タイムズ紙)
同紙は、C919には「ハネウェルの電気系統と着陸装置、ゼネラル・エレクトリック(GE)のフライトレコーダー、CFMインターナショナルのLEAPエンジン、パーカーエアロスペースの操縦系統と燃料系統、ロックウェル・コリンズの気象レーダーとフライトシミュレーター、ミシュランのタイヤ」が使われていると指摘した。いずれも米国または欧州の企業だ。