(CNN) ウクライナの首都キーウがロシア軍による空からの攻撃の標的となったのは今月に入り14日目となった。
ウクライナ当局者の推計によれば、28日未明にキーウに対して行われた攻撃で、ロシアはドローン(無人機)50機あまりを送り込んだ。市当局によれば、ドローンの大部分は防空システムによって破壊され、死傷者や損害も最小限に抑えられた模様だ。
それでは、なぜロシアは見返りが限られるなかでも、攻撃にこれほどの労力をつぎ込むのだろうか。
一つにはイラン製のドローン「シャヘド」がキーウに対して何らかの苦痛を与えるのに安価な方法だということだ。キーウは昨年の大部分、ロシアによる侵攻の影響を免れていた。ロシアは数百機のドローンを購入しているが、ドローンの価格はミサイルの20分の1程度に過ぎない。
夜間の攻撃では、数千人の人々が避難所や地下室に逃げ込む。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、キーウで空襲のサイレンが鳴った時間は887時間におよぶ。歴史的に見て近いのは、第2次世界大戦の末期に、ナチス・ドイツがV2ロケットを使って英首都ロンドンに対して行った空爆かもしれない。
キーウ市は、28日に1500年以上前の建都を記念した「キーウ市の日」を祝う準備を進めていたが、ロシアによる攻撃は偶然ではないだろう。
こうした攻撃が行われ、避難と疲れにもかかわらず、キーウの人々の姿勢は弱まるどころか強さを増しているようだ。
ロシア側がドローンを送り込む目的は、ウクライナの防空能力を疲弊させ、少なくなっている弾薬をドローンに対して使わせることにある可能性が高い。
先ごろ流出した米軍の評価など複数の報告書は、ウクライナの防空システムの重大な弱点に言及している。特に防空システムの主力である地対空ミサイル「S300」のシステムが劣化し、弾薬を見つけることがますます難しくなっているという。
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本稿はCNNのティム・リスター記者による分析記事です。