フォルクスワーゲン、87年の歴史で初めてドイツ工場閉鎖か 経営環境の厳しさ増す中

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ドイツ北部ウォルフスブルクにあるVWグループの本社/Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images

ドイツ北部ウォルフスブルクにあるVWグループの本社/Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images

ロンドン(CNN) 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は87年の歴史で初めてドイツの複数の工場を閉鎖するかどうかを検討している。中国の電気自動車(EV)メーカーとの競争が激化する中、コスト削減を推し進める狙い。

世界最大規模の自動車メーカーである同社は2日、声明で、自国ドイツでの工場閉鎖の可能性を排除できないと述べた。同社が「将来に備える」ための他の措置には1994年以来施行されている労働組合との雇用保護協定の終了も含まれる。

VWグループのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は「欧州の自動車業界は非常に厳しく深刻な状況にある」とし、「経済環境の厳しさが増す中、新たな競合企業が欧州市場に参入している。特に製造拠点としてのドイツは競争力の面でさらなる遅れをとりつつある」と述べた。

昨年末に100億ユーロ(約1兆6000億円)のコスト削減に着手したフォルクスワーゲンは最大の市場である中国で市場シェアを失いつつある。中国での今年前半の納車台数は前年同期比7%減。グループの営業利益は11.4%減少し、101億ユーロとなった。

中国での業績不振はBYDをはじめとする現地のEVブランドに押されていることによるもので、BYDの脅威は欧州事業でも高まっている。

ブルーメ氏は先月、決算発表でアナリストらに対し「主に対応する分野はコスト削減だ」と述べ、工場、サプライチェーン(供給網)、人件費の削減計画に言及した。

コスト削減計画は、監査役会のほぼ半数の議席を占める労働組合代表による激しい抵抗にあうとみられる。監査役会は経営幹部を任命する権限を有する。

ドイツで特に強力な労働組合の一つであるIGメタルは2日、同社の業績不振はずさんな経営管理によるものだと批判し、雇用を守るために闘うと宣言した。

IGメタルはこのコスト削減計画について「近視眼的であるばかりか、非常に危険でもある。フォルクスワーゲンの心を破壊する恐れがある。我々は従業員を犠牲にして会社を発展させる計画を容認しない」と述べている。

フォルクスワーゲンの最新の収益報告書によると、同社は世界中で約68万3000人の従業員を雇用しており、そのうちドイツ国内の従業員は約29万5000人に上る。

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