世界へ売り込むキャッサバと食用イモムシ、アンゴラ発のスーパーフード
(CNN) カラフルで栄養豊富なトゲトゲのイモムシ「モパネワーム」。アフリカ南部の森林に生息し、地方では広く使われる食材でもある。現地の食品メーカーは、高たんぱくで低脂肪のスーパーフードとして海外市場へ売り込みをかけている。
アフリカ南西部アンゴラの乾燥食品メーカー、フードケア(本社・首都ルアンダ)は、キャッサバやキノコ、各種フフ(でんぷん粉をこねて作る料理)、そしてモパネワームなど、25種類の国産食品を加工・包装して、欧州や北米、南アフリカに輸出している。
開業は2020年、新型コロナの感染が世界的に拡大する直前だった。苦しかった最初の1年半を経て、今では社員28人とパートタイム6人を雇用するまでに成長し、サプライヤー網は北部の4州に広がった。
創業者のマレーネ・ジョゼ最高経営責任者(CEO)によると、最もよく売れているのはモパネワームではなくキャッサバだという。グルテンフリーのキャッサバ粉は小麦やライ麦、大麦の代替として注目され、2024年の世界市場規模は343億ドル(現在のレートで約5兆円)、34年までには955億ドルを超すという予測もある。
フードケアがキャッサバを加工できる量は月間84トン。しかし海外からは月間700トンのリクエストが入る。製品の95%は海外へ輸出し、残る5%はアンゴラ国内で主に中流から上流層に販売している。

フードケアの施設内で袋詰めにされ、パレットに乗せられるキャッサバ粉/FoodCare
海外でも今のところ主な対象はアフリカ出身者だが、できるだけ魅力的に見せることを狙ったブランド戦略や4言語に翻訳したラベルを通じ、いずれは非アフリカ出身者にも購入してもらうことを目指している。
「ほかの国の人たちは私たちの食品を好まないと考えるアフリカ人は多いけれど、パッケージが良くないせいで単にそうした食品のことを知らないだけだと思う」とジョゼ氏は語る。
「(人々は)情報を求めている。どんなメリットがあって、何に使うのか。そうした情報を全て盛り込んだ見栄えのするパッケージの製品でなければ、当然ながら、試そうとは思わない」
「(アンゴラの)製品は大部分がオーガニックで、農業の95%は家族(経営)」と同氏は言い、「健康的な食品の輸出国としてこの国を売り込む必要がある」と言い添えた。
農業の促進
アンゴラは食料の半分以上を輸入しており、現在耕作されている土地は、耕作可能な土地の10%にすぎない。経済を多様化して輸入依存を引き下げるため、政府は農業促進の計画を打ち出している。
しかし同国の経済は石油への依存が大きく、石油価格の世界的な下落で国民は「かつて経験したことのない金融危機の中での生活」(ジョゼ氏)を強いられている。2024年の失業率は32%を超え、15~24歳の失業率はそれよりはるかに高い。
国連開発計画アンゴラ代表のデニーゼ・アントニオ氏によると、アンゴラは2002年まで27年間続いた内戦によって、農業インフラの多くが破壊された。
「幸いなことに、農業の活性化は経済の多様化や石油依存からの脱却のためだけでなく、食料安全保障のためにも国家の優先課題となっている」と同氏は説明する。
例えば政府の穀物生産促進国家計画では、小麦やコメ、大豆、トウモロコシといった作物の生産量を2027年までに倍増させるという目標を打ち出している。