気候変動で「最貧困層1億人増」「7.6億人が家失う」恐れ
(CNN) 地球の気候変動をこのまま放置すれば、今後15年のうちに世界で最貧困層が1億人以上増加し、計7億6000万人の住む土地が水没する恐れがあるとの報告書が新たに発表された。
今月30日からパリ郊外ルブルジェで開かれる国連気候変動会議(COP21)を前に、2つの報告書が8日、同時に公表された。
ひとつは世界銀行の研究報告。最貧困層が増える危険性は、サハラ砂漠以南のアフリカと南アジアで最も大きいと指摘している。
世銀によれば、気候変動はすでに作物の収穫減や食料価格の高騰など、貧困層の主要な収入源である農業に大きな影響を及ぼし、貧困削減を目指す取り組みの妨げとなっている。
水を媒介とする感染症やマラリアなど危険性も高まる。マラリアは気温が2~3度上昇すれば、感染の危険にさらされる人が1億5000万人も増える恐れがある。
研究チームを主導した世銀の上級エコノミスト、ステファン・アルガット氏は「この研究が示す通り、貧困対策と気候変動対策は別々でなく同時に進めるべきだ」と主張。今後15年間、気候変動に配慮した開発を進めることで、貧困層の増加を食い止められる可能性が高まると強調した。
具体的には、COP21の主要議題となる温室効果ガス排出量の削減のほか、水害に備える早期警戒システムの導入や、暑さに強い作物の開発などが役立ちそうだ。