スコットランドのゲール語、10年以内に消滅か 社会言語学研究
(CNN) スコットランドでゲール語話者のコミュニティーが危機的な状況にあり、今後10年以内に言語が消滅する可能性がある――。そんな研究結果が社会言語学の新著に発表された。
2日に発表された報道声明によると、英ハイランズ・アンド・アイランズ大学の研究チームなどは今回、複数のゲール語話者の集団を調査。その結果、「ゲール語の社会的な使用と継承が崩壊点に達している」ことが明らかになった。
スコットランドでは1500年以上にわたりゲール語が使用されてきた。使用者は減少傾向にあるものの、スコットランド行政府はゲール語について、とりわけ北部の住民にとって「文化的アイデンティティーの重要な一部」に当たると強調している。
研究書の著者であるハイランズ・アンド・アイランズ大のオギラゲン教授はCNNに対し、1980年代に端を発する話者の急減が原因となり、今後10年でゲール語が消滅する可能性があるとの見方を示した。
1981年の国勢調査では、島しょ部の8割がゲール語を話す能力を申告していたが、2011年の調査では52%に減少。30年間で9660人純減した計算で、特に若年層の話者の減少が目立つ。
オギラゲン氏によると、スコットランドに残る約1万1000人のゲール語話者は50歳超の人が大半だが、話者のネットワークの孤立化が進み、若い世代への継承は進んでいない。
行政府はこれまで、教育を受けやすくする目的でグラスゴーやエディンバラに小中学校を設立するなどの対策を講じてきたが、実を結ばなかった。
言語の衰退を食い止めるためには、抜本的な対策が必要になるとオギラゲン氏は指摘。今の状況が続けば、近いうちにゲール語を学ぶ場所は地域ではなく教室に限られてしまうと警鐘を鳴らしている。