有資格の香港住民に市民権、英政府が表明 国安法施行受け
ロンドン(CNN) 英政府は1日、中国が香港国家安全維持法(国安法)を施行したことを受け、有資格の香港住民を対象に英市民権取得への道を開く方針を表明した。
ラーブ英外相はインタビューで、国安法の内容を慎重に評価した結果、「香港の自治の明確な侵害であり、住民の自由への直接的な脅威」に当たると判断したことを明らかにした。
そのうえで、国安法について、1997年の香港返還に至る地ならしとなった中英共同宣言の「明確かつ重大な侵害」だと指摘した。同宣言は、香港の従来の統治システムを50年間維持するとの内容。
中国政府は6月30日夜に国安法を施行した。同法をめぐっては、香港の自治や市民的・社会的自由を奪い、中国政府による強権統治を固めるものだとの批判が出ている。
香港返還23周年を迎えた1日には、繁華街の銅鑼湾(コーズウェイベイ)で数百人が新法に抗議するデモを行い、少なくとも300人が逮捕された。香港警察はツイッターで、うち9人は国安法違反の疑いで拘束されたとしている。
ジョンソン英首相は1日、「英海外市民(BNO)パスポート」の保有者に対する約束を守ると表明。「中国がこの道を進むなら、われわれはBNOの地位を持つ人を対象に英入国の新たなルートを導入し、一定期間の滞在を認める。滞在期間中は生活や就労が可能で、その後は英市民権を申請できる」と述べた。
BNOパスポートの保有者は今年2月24日の時点で34万9881人。英政府の推計によると、現在香港に住むBNOは約290万人に上る。