冷凍食品やファストフードで認知症リスク上昇、超加工食品の危険裏付け 米研究
(CNN) 冷凍ピザなど調理済み食品は忙しい生活の助けになってくれる。ホットドッグ、ソーセージ、ハンバーガー、フライドポテト、ソーダ、クッキー、ケーキ、キャンディー、ドーナツ、アイスクリームなどの誘惑にも耐え難い。しかしそうした超加工食品の摂取カロリーが1日の摂取カロリーの20%を超えると、認知機能の低下リスクが高くなる――。そんな研究結果が5日の医学誌JAMAに発表された。
1日の摂取量を2000カロリーとすると、これは約400カロリーに相当する。ちなみにマクドナルドのポテトSサイズとチーズバーガー1個で530カロリーになる。
脳の実行機能(情報を処理して判断を下す)にかかわる部分は特に大きな打撃を受けるという。
今回の研究では、超加工食品の摂取量が最も多い層は、摂取量が最も少ない層に比べて、認知機能が低下するペースは28%速く、実行機能の低下ペースは25%速いことが分かった。
「この調査は関係を調べたもので、因果関係の実証は目的としていない。それでも認知機能の低下が超加工食品に起因する可能性があるという説を裏付ける要素が多数ある」「これだけで十分に、超加工食品は恐らく脳に悪いと結論付けられるだろう」。予防医学や栄養学に詳しい専門家のデービッド・カッツ氏(今回の研究にはかかわっていない)はそう解説する。
ただしカッツ氏によると、全般的な食事の質が高い場合、つまり、非加工食品や果物、野菜、全粒穀物、健康的なたんぱく質の摂取量が多い場合、超加工食品と認知機能低下との関係は薄れる。
この研究は、米サンディエゴで5日に開かれたアルツハイマー協会の国際会議で発表された。研究チームはブラジル人の男女1万人あまりを10年間にわたって追跡調査。対象者は女性、白人、大卒者が半数以上を占め、平均年齢は51歳だった。
対象者には調査の開始時と終了時に単語の記憶力、認知力、話し方の流暢(りゅうちょう)さに関するテストを受けてもらい、食生活について質問した。
論文を発表したサンパウロ大学医学校のクラウディア・スエモト助教によると、消費カロリーに占める超加工食品の割合は、米国人が58%、英国人が56.8%、カナダ人が48%に上る。
超加工食品は「食品成分(油脂、糖類、でんぷん、たんぱく質分離物)を工業的に合成し、そのままの食材をほとんどあるいは一切含まず、一般的に香料、着色料、乳化剤などの添加物を含む食品」と定義している。
調査の結果、1日の摂取カロリーに超加工食品が占める割合が20%を超える人は、20%に満たない人に比べて、認知機能低下のペースが28%速く、実行機能低下のペースは25%速いことが分かった。
超加工食品は認知機能低下に加え、肥満、心血管系の疾患、糖尿病、がんのリスクを高め、寿命の低下につながることも知られている。