スコットランド女王メアリーの失われた書簡を発見、暗号解読
暗号を解読する
研究チームは今回、コンピューターアルゴリズムと言語学的な解析、手作業による暗号解読技術も駆使して書簡を読み解いた。
「全てが分かった(ユリイカ)と思う瞬間はなく、時間をかけて『タマネギ』の皮を1枚ずつ剥がしていった」とラスリー氏は振り返る。
当初、コンピューターアルゴリズムを使う方法では文章の3割しか解読できなかった。その後、手作業で記号を分析し、文脈解析を使って試行錯誤しながら意味を判定した。
「巨大なクロスワードパズルを解くようなものだった」「暗号化された文字(計15万個の記号)を転記し、解釈することに労力の大半を費やした。転記後の文字数は5万語と、1冊の本が書けるほどだった」(ラスリー氏)
今回の暗号はホモフォニック暗号と呼ばれるもので、一つのアルファベットに対して複数の暗号記号を充てることができる。この手法により、特定の記号があまりに頻繁に使われることがなくなる。頻出の地名や言葉、名称を示す専用の記号も使われているという。
メアリーの暗号化された書簡が他にも行方不明になっている可能性は高い。当面、今回の書簡が研究者に豊富な情報をもたらしそうだ。
「我々の論文では、書簡の解釈や要約を提示しただけに過ぎない」「歴史家がより深い分析を行えば、メアリーの幽閉期間についてさらなる知見が得られる可能性がある。歴史家と協力して、解読結果や注釈、翻訳を付けたメアリーの書簡集を出せれば素晴らしい」(ラスリー氏)