スコットランド女王メアリーの失われた書簡を発見、暗号解読
秘密書簡
カトリック教徒のメアリー・スチュアートは王位継承順位でプロテスタントのエリザベス1世に次ぐ立場にあり、カトリック教徒はメアリーこそが正統な君主だと考えていた。メアリーを脅威と見なしたエリザベス1世は19年間にわたり幽閉し、シュルーズベリー伯の監督下に置いた。メアリーはエリザベス1世の殺害を企てたとして、44歳の時に斬首刑に処された。
しかし幽閉期間中、メアリーは無為に過ごしていたわけではなく、協力者と定期的に書簡をやり取りし、敵対勢力から書簡を隠すために伝令を雇っていた。
今回の書簡は、フランスの駐イングランド大使だったミシェル・ド・カステルノーに宛てたもの。1578年には早くもやり取りが始まっていた可能性がある。カステルノーは書簡をフランスにいるメアリーの代理人に転送した。
イングランド政府はメアリーの秘密裏の行動に気付いていた。ウォルシンガムも幽閉中のメアリーを監視しており、フランス大使館にいるスパイを通して一部の書簡を入手した。解読された書簡57通の一部が英国で見つかった理由はここにある。
書簡の中で、メアリーは幽閉生活や体調が優れないことへの不満を吐露。エリザベス1世との解放交渉が誠実に行われていないと嘆き、ウォルシンガムやエリザベス1世のお気に入りだったレスター伯への嫌悪感を詳しくつづっている。