月の試料に水分子、土壌からの発見は初 中国
香港(CNN) 中国の無人月探査機「嫦娥(じょうが)5号」が2020年に月から持ち帰った試料を分析したところ、土壌から水の分子が発見されたことがわかった。土壌から水分子が見つかったのは今回が初めて。
月で「水」が見つかること自体は目新しいものではない。米航空宇宙局(NASA)やインドの探査機も月面に水とみられるものを発見しているほか、中国の科学者は昨年、月面に散らばるガラス玉の中に水が閉じ込められているのを確認した。
科学者は今回の発見について、水の分子が物理的な試料の中から見つかったのは初めてであり、重要なのは、そのような形態の水が存在できないと以前には考えられていた月の一部から採取されたという点だと説明する。
科学者は人間の髪の毛ほどの幅の板状の透明な結晶を発見したとしたが、これが実際は「未知の月の鉱物」だった。この鉱物は約41%が水でできており、月面での激しい温度の変動にもかかわらず水分子を安定的に保つために少量のアンモニアが含まれていた。
こうした種類の水は月の居住用の資源となる可能性があるという。
中国は宇宙大国を目指して取り組みを進めており、月面に研究用の基地を建設するといった大きな目標を掲げている。
中国北部に帰還した嫦娥5号=2020年12月/Ren Junchuan/Xinhua/AP/File
香港大学の惑星地質学者によれば、月には3種類の状態で水が存在しうる。「H2O」として知られる水分子。それが凍った氷の状態。水酸基(ヒドロキシ基)という分子化合物の三つだ。
これまでの発見では、太古の昔に火山が噴火していたときに月面には水が存在していたこと、そして、月の水はそれらの火山からもたらされたものだということが示されていた。
科学者は何百年も前から月に水が存在することについて理論化していたが、一般の人々が月での水の存在を常に知っていたわけではなかった。
水や氷、水分子が、主に太陽の光の届かない暗く寒い月の極に存在していることがわかったのはつい最近のことだ。