飲酒で深刻な肝障害リスクが倍以上に、肥満や糖尿病の場合 新研究
(CNN) 腹囲の大きい人や糖尿病の人がアルコールを摂取すると、深刻な肝障害のリスクが倍以上になり、高血圧の人の場合はほぼ倍になることがわかった。「クリニカル・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー」誌に先ごろ掲載された研究で明らかになった。
腹囲が女性で約89センチ以上、男性で約102センチ以上の場合、肥満と関連していることが多く、高血糖や高血圧などの心代謝リスク要因の一つとなっている。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国人のほぼ半数が高血圧、3人に1人以上が前糖尿病、約40%が肥満とされている。
専門家によると、これらの健康状態は肝臓に脂肪を蓄積させ、肝臓の線維化、つまり瘢痕(はんこん)化を招く可能性がある。
また、飲酒はアルコールを代謝しようとする肝細胞にダメージを与え、脂肪を蓄積させる可能性がある。過剰な脂肪によって引き起こされる炎症と瘢痕は、最終的に肝硬変を引き起こし、肝不全や肝臓がんのリスクを高める恐れがある。
研究では、中程度から多量の飲酒を行う慢性疾患患者に肝臓瘢痕の大幅な増加が認められた。南カリフォルニア大学ケック医学校の臨床医学准教授で、この研究の筆頭著者であるブライアン・リー氏は、こうした脂肪蓄積の二重の打撃が増加の理由かもしれないと述べた。
リー氏は一方で、腹囲が大きくなく、高血圧や糖尿病でもないからといって、アルコールを大量に摂取しても安全というわけではないと述べた。
アルコールは肝臓に有毒であり、大量飲酒者の誰もが重度の肝臓病のリスクにさらされていることがわかっているからだという。
「大量飲酒」とはどの程度か?
この研究は、約4万1000人を対象とした政府統計のデータを分析したもので、このうち 2200人以上が「重度」の飲酒者に分類された。
この研究では、1日に20グラム以上のアルコールを摂取する女性、30グラム以上を摂取する男性を重度の飲酒者と定義している。
一方で、多くの研究が、アルコール摂取は量にかかわらず健康に危険をもたらすことを明らかにしている。1月には、当時の医務総監ビベック・マーシー氏がアルコールとがんの関連性について厳しい警告を発した。
マーシー氏は、米国では、がんの症例が年間約10万件あり、2万人ががんで死亡しているとし、アルコールは予防可能ながんの要因であることが十分に証明されているにもかかわらず、大多数の米国人がこのリスクを認識していないと述べている。