自律ドローン集団が大量殺人、短編映画が描く戦慄の未来
ワシントン(CNNMoney) 爆弾を搭載した小型ドローン軍団が、顔認識技術を駆使して痕跡を残さない大量殺人を繰り広げる――。自律型兵器、通称「殺人ロボット」の禁止を訴える研究者らが、そんな未来に警鐘を鳴らす短編映画「スローターボッツ」を制作した。
短編映画はカリフォルニア大学バークリー校のステュアート・ラッセル教授らが共同制作した。スイスのジュネーブで開かれる国連の通常兵器に関する会議で、自律型兵器について論議が行われるのに合わせ、自律型兵器の世界的な禁止に支持を集める狙いがある。
映画の中の小型ドローン軍団は、大学数十校のキャンパスを襲撃し、何千人もの学生を殺害する。ドローンは最初の一群が校舎の壁に取りついて穴を開け、後続の集団がそこから侵入して狙った学生を狙撃。米議会議事堂でも同じ光景が展開され、特定の上院議員が狙われて殺害される。
「たった今見た未来を防ぐチャンスはある。だが行動のために残された時間は急速に狭まっている」。人工知能(AI)の専門家であるラッセル教授はそう予告する。「機械が人間を殺すことを許せば、我々の社会と自由にとって壊滅的な事態になる」
こうした襲撃は現時点では実現できない部分もあるものの、技術開発が進めば状況は変わる。研究者によれば、複数の大国が自律型兵器へと動きつつあり、もしその中の1国が配備すれば、世界的な軍拡競争の引き金になりかねない。
AIの研究者たちは数年前からそうした事態を懸念して、自律型兵器の禁止を訴えてきた。いずれテロ組織がこうしたドローンを入手して、大量殺人に利用する可能性もあると警告している。
映画に登場する防衛業界の担当者は、大量の小型ドローンが貨物機から発進する光景を前に、「2500万ドル相当の注文が入っている。街の人口の半分をゆうに殺害できる」と語る。