NFL選手、筋萎縮性側索硬化症による死亡リスク4倍か 米研究
(CNN) 米プロフットボール(NFL)の選手は一般の人々と比べて、体が徐々に動かなくなっていく難病の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」によって死亡する可能性が約4倍高いことがわかった。米ハーバード大学と米ボストン大学の研究者が研究結果を発表した。
今回の研究では、1960年から2019年に1試合以上プレーしたことのあるNFL選手全1万9423人を調査した。アメリカンフットボールとALSの関係について目を向けた調査としてはこれまでで最大規模。以前の研究でもアメリカンフットボールとALSに似たような関連がみられていたが、調査対象となった選手の数ははるかに少なかった。
今回の研究ではまた、ALSと診断された選手は、ALSと診断されなかった選手よりもキャリアが長かったことがわかった。このことは、ALSと頭部外傷の増加との関連性を示唆している。ALSと診断された選手の平均のキャリアは7年間で、ALSを患っていない選手のキャリアは4.5年だった。
研究の共同執筆者のダニエル・ダネシュバー博士は、キャリアが長くなるとALSの危険性が高くなるという今回新たに見つかった関連について、フットボールをプレーして繰り返し頭部に打撃を受けることがプロ選手がALSを発症することにつながるという証拠が増えつつあるなかで、それに加わるものだとの見方を示した。
研究者は20年10月から21年7月の間に全選手の公文書について、報道から追悼記事、NFLの統計資料を含めて、くまなく調べた。調査によれば、38人の選手がALSと診断され、そのうちの28人がALSによって死亡していた。
米国全体でみると、ALSと診断されるケースは10万人あたり1.5~2.2件。しかし、かかりやすくなる可能性は年とともに増加する。
ALSは神経変性病で白人の高齢男性がよりかかる可能性が高い。根本的な原因はわかっていない。
研究者は頭部への打撃のほかにも、喫煙やエクササイズ、殺虫剤への暴露などの潜在的要因がALSに影響を与える可能性にも言及した。プレーするポジションや人種、年齢とALSとの間には関連性は見当たらなかったが、ALSと診断された選手の人数から断定は難しいとも述べた。