パリ・ルーブル美術館のピラミッドを設計したことで知られる建築家、イオ・ミン・ペイ氏が死去した。102歳だった。建築事務所のペイ・コブ・フリード・アンド・パートナーズが明らかにした。
主な活動拠点は米国だったものの、人々の記憶に残るのはやはり1980年代に行われたルーブル美術館の改修だろう。ペイ氏は中庭にあるガラスと金属のピラミッドを手掛けたほか、3つの小型ピラミッドを設計し、エントランスの地下部分に大規模増築を行った。
ルーブルの長い歴史の中で外国人建築家が関わったのはペイ氏が初。当初はそのデザインに対して強い反発が出たものの、最終的にはフランス人も納得した。
ピラミッドの建設現場を写した1988年7月の写真/JOEL ROBINE/AFP/Getty Images
ペイ氏は1917年、中国の裕福な家庭に生まれた。米国で高等教育を受けることを決意し、35年に渡米。マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学で建築を学んだ後、55年にニューヨークで自身の建築事務所を開設した。
64年にジョン・F・ケネディ大統領図書館・博物館の設計依頼を勝ち取ったことで名声を確立。78年にはワシントンのナショナル・ギャラリー東館を手掛け、美術館への人々の見方を一変させた。
ペイ氏が手掛けたジョン・F・ケネディ大統領図書館・博物館/Michael Springer/Getty Images
その後は89年に米ダラスのモートン・H・マイヤーソン・シンフォニー・センター、90年に香港の中国銀行タワー、2008年にカタールのイスラム美術博物館などを設計した。