（ＣＮＮ） 米コロラド州議会議事堂に飾られていたトランプ大統領の肖像画が、先ごろ撤去された。トランプ氏本人が「本当に最悪」と酷評したことを受けての措置だが、制作した画家は今回の批判によって画業４０年のキャリアが危機に直面していると訴える。
トランプ氏は画家のサラ・ボードマン氏が自身のイメージを「意図的にねじ曲げた」と非難した。ボードマン氏は自らのウェブサイトに公開した声明で、この非難が自分の仕事に直接的かつ否定的な影響を与えていると明らかにした。その影響は「今や回復が不可能なほど危険な状況にある」という。
ボードマン氏の肖像画は、他の米大統領の肖像画と並んでコロラド州デンバーの州議会議事堂の壁に６年近く掛けられていた。しかしトランプ氏が先月、ソーシャルメディアで作品への不満を表明すると、共和党議員らの要請によって撤去された。
州上院のポール・ランディーン少数党院内総務は、代わりに「現在のトランプ氏を描いた肖像画」を掛けるべきだと述べた。ＡＰ通信が当時報じた。
自身の運営するＳＮＳ、トゥルース・ソーシャルで、トランプ氏は以下のように書き込んでいた。「写真であれ絵であれ、自分の肖像の出来が悪いのを好む人はいない。だがコロラドの州議会にある肖像画は、意図的にねじ曲げられている。恐らくこれまで目にしたことのない水準で」
コロラド・スプリングスの自宅で写真に収まる画家のサラ・ボードマン氏/Christian Murdock/The Gazette/AP
さらに、同じ壁に掛かっているオバマ元大統領の肖像画は「素晴らしい」にもかかわらず、「自分の肖像画は本当に最悪」と強調。ボードマン氏に対し、「年を取って才能がなくなったに違いない」との見解を示した。
ボードマン氏はトランプ氏の非難に反論。自分の描く肖像画は正確で、「意図的なねじ曲げ」や政治的バイアスはないと主張した。また明示するか暗示するかを問わず、対象を誇張するような試みも一切行っていないと主張した。肖像画は２０１９年にお披露目されたが、それ以降届いているのは「圧倒的に前向きな評価」だとも言い添えた。
ボードマン氏がこれまで描いてきた肖像画には共和党のジョージ・Ｗ・ブッシュ元大統領や連邦地裁判事の他、米国軍人数十人も含まれる。
今回の論争で自身の仕事がどのような影響を受けたのか、ボードマン氏は詳細を明らかにしなかった。この件について「これ以上はコメントしない」としている。
コロラド州議会議事堂の円形広間の壁。プレートの文字から、右下のスペースにトランプ氏の肖像画が飾られていたとみられる/David Zalubowski/AP
トランプ氏の肖像画はコロラド州の共和党議員らの委託で制作された。委託に先駆け、議員らは募金サイト「ゴー・ファンド・ミー」を通じ１万ドル（現在のレートで約１４８万円）を超える資金を集めていた。
ＡＰ通信と先月共有した声明の中で、コロラド州下院の民主党議員は肖像画について、共和党議員が時間と費用を負担するのであれば、どの肖像画を掛けるかは彼ら次第だと示唆した。
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原文タイトル： Painter of ‘truly the worst’ Trump portrait says president’s comments threaten her art career（抄訳）
