南太平洋の孤島、チリ領イースター島から150年前に英国人が持ち出し、ロンドンの大英博物館に展示されているモアイ像の返還を求めて、島の代表団が20日、同博物館を訪れた。
この像は高さ約2.4メートル、重さ約4.2トンもあり、現地語で「失われた友人」という意味の「ホアハカナナイア」と呼ばれる。
1868年に英国人が無許可で持ち出し、ビクトリア女王に贈られた。女王がその後、大英博物館に寄贈した。
像の名は現地語で「失われた友人」を意味する「ホアハカナナイア」/ Credit: ADRIAN DENNIS/AFP/AFP/Getty Images
イースター島の知事は博物館での会合後、記者団に「私たちの体はここに来たが、魂は英国が持っている」「子どもたちの世代が像をひと目見られるよう、数カ月の間だけでも島に返してほしい」と訴えた。
代表団に参加したチリの国家資産相は、「この像が島にとってどれほど大切なものか、博物館に理解してもらえたと確信している」「今回は1回目の会合。次回はぜひイースター島で」と述べた。
博物館の外には旗などを掲げて像の返還をアピールする人々の姿も/Credit: ADRIAN DENNIS/AFP/AFP/Getty Images
イースター島内に点在するモアイ像は祖先信仰に基づき、1100~1600年に計887体が建てられたとされる。このうち玄武岩でつくられたのは、ロンドンのホアハカナナイアを含め14体だけだ。
返還の呼び掛けは今年8月、島の市長が大英博物館に送った書簡をきっかけに本格化した。島側は、現地でレプリカを掘り、本物の代わりに同博物館へ贈る計画を提案している。