南アフリカで偶然見つかった英国の文豪、チャールズ・ディケンズの手のひらサイズの肖像画が、22日からロンドンで一般公開される。作品に描かれた本人の年齢は31歳で、後にベストセラーとなる「クリスマス・キャロル」を執筆していたころだったとみられる。
肖像画は1843年に英アーティストのマーガレット・ギリーズが描いたもの。その後行方が分からなくなり、ギリーズ本人の届け出を受けて調べが進められたが、所在が明らかになることはなかった。
ところが今年に入り、南アフリカ東部の都市、ピーターマリッツバーグのある家で売りに出されようとしていた古物類の中から偶然発見された。肖像画の買い手が作品をロンドンへ送って鑑定したところ、推定で25万ドル(約2800万円)の価値があることが分かった。
鑑定を手掛けたフィリップ・モールド氏はCNNに対し、作品自体の損傷にもかかわらずディケンズの両眼は「生き生きと輝いていた」と説明。その後2カ月を費やして肖像画を修復したという。
当時のディケンズについてモールド氏は、発表した2つの小説がいずれも不評でスター作家としての地位が危うくなっていたと指摘する。このとき執筆中だったとされる「クリスマス・キャロル」は、一転してベストセラーとなり、以後クリスマスという行事自体が大衆化するきっかけを作ったともいわれる。
ディケンズの肖像画はわずかな数しか残っておらず、現在ロンドンにあるチャールズ・ディケンズ・ミュージアムが上記の肖像画の購入に必要な資金集めに動いている。