オーストリアでこのほど、フランス人の印象派画家、ルノワールの絵画が盗まれる事件があった。警察は事件に関連して、防犯カメラに映った男3人の行方を追っている。
盗難に遭ったのは「湾、海、緑の崖(仮訳)」と題された風景画。警察がロイター通信に明かしたところによると、首都ウィーンにあるオークションハウスで26日、額縁から切り取られたとみられている。この施設では28日に同作品の競売が行われる予定だった。
警察が公開した防犯カメラの映像には、容疑者3人の姿が映っている。
ウィーン警察の報道官はCNNの取材に、国際警察と連絡を取っていると説明。「一瞬の出来事だったことから、容疑者はプロだとみている」と述べた。額縁から絵画を取り出した後、歩いて現場を去ったという。
この絵画は1895年の作品で、縦27センチ、横40センチの大きさ。評価額は最大で16万ユーロ(約2050万円)となっていた。
美術商で印象派やモダニズム作品を扱うジェームズ・ラウンデル氏はこの絵について、ルノワールの絵画で最も有名な部類ではないものの、良く知られており、売るのは難しいだろうと説明。「今回のように話題になり、誰も手を出そうとしない場合、絵が破壊される危険性がある」と話した。
ルノワールの作品では、「髪に花を挿して肘をつくマドレーヌ(仮訳)」が米連邦捜査局(FBI)の高額盗難作品リストでトップ10に入っている。2011年に米ヒューストンの住宅から盗まれたもので、評価額は100万ドルに上る。